メンタルヘルス

2019年1月8日

わたしは内科の医者なので、メンタルヘルスについてはあまり得意ではありません。
しかしながら、プライマリケア医として、座学ですが頑張って勉強して、とりあえず基本的な知識は頭に入れているつもりです。
精神的な疾患でもとりあえず初療はしています。

医院でプライマリケアとしてメンタルヘルスをやっていて思うのは、時間をかけた診療の必要性です。
内科や小児科については診断がつけば方向性が定まって治療までテキパキ方針が決まります。
基本的には薬が必要かどうか、より詳しい検査が必要かどうか、これらを判断するのが仕事です。
3分診療などと揶揄されたりもしますが、典型的な症例は3分で十分な対応ができるものもあります。

一方メンタルヘルスは診断までは容易です。見た瞬間わかる場合すらあります。
ところが、往々にして薬だけで治癒しません。
じっくり話を聞く必要があるのです。
薬を使うと少し楽になる、と患者さん達は言いますが、それだけでは心の奥の悩みは解消されないケースが殆どです。

そんな時に必要なのは傾聴であると感じています。
患者さんが悩んでいること、心配していること、悲観していることを時間をかけて聞く。そうすることで患者さんの頭の中が整理されて少し落ち着ける。
あるいは医者という少し遠いところにいる第三者に、自分の身内には言えない悩みを打ち明けることで気持ちが楽になる。

メンタルヘルスの患者さんに時間をかけて診療することで治療の効果が高まるといった現象をこれまで何度も経験してきました。
ひとりひとりの患者さんに寄り添って、その患者さんに必要な医療を提供する。
その方針で日々診療を行っています。

時にはすごく診察に時間がかかる患者さんがいるかもしれませんが、その人に必要な時間をかけていますので、ご理解頂ければ幸いです。