話し方

2019年1月6日

医院で患者さんと話すとき、患者さんによって話し方を変えています。

大まかに言えば、20〜30代の人にはフレンドリーに、40代から70代の人には敬語を用いて丁寧に、80代以上の人には逆にフレンドリーにといった感じです。

当然、これはただの目安で、患者さん一人一人対応を変えています。

医学生のころ、医療面接の授業などでは「敬語を用いて丁寧に」を教え込まれました。

おはようございます。
●●さんでよろしいですね。
本日診察を担当します長嶋と申します。よろしくお願いいたします。
本日はどうされたのですか?

といった感じです。

ですので医者になりたてのころは、この教えられた対応を心がけました。

すると、うまく情報を聞き出せるときと、聞き出せないときがあることに気づきました。

自分より概ね年上の方はこの話し方によってリラックスしてお話をしてくれました。

ですが、年下の患者さんはむしろ緊張してしまってうまく症状が伝えられないように思われました。

ご高齢の方もこの話し方だと聞き取りにくかったりするようでした。

人によって話しやすい距離感や聞き取りやすい言葉というのは異なっています。

医者にとって最も大切なのは、聞き出す力だと思っています。

診察は問診までで8割診断できるという論文もあります。異論ももちろんありますが、問診の大切さを否定する医者はいないはずです。

患者さんからうまく病気の情報を引き出すこと、つまり患者さんが話しやすい環境を作ることが、適切な診断への近道となるのです。

適切な診断のためにはどうすれば良いのか。

いろいろ試行錯誤をして、現在のように、患者さんによって話し方を変えるようになりました。

患者さんが不快にならないように。

基本的にはどんな世代の方も初診時には丁寧に診療を行います。何度か診療をしていくうちに患者さんの話しやすい距離感を把握し、近い距離感を好むひとにはフレンドリーに、そうではない人は丁寧に、耳が悪かったりする場合には声を大きく簡素に、など使い分けるようにしています。

どんな距離感が好きですかなどとは聞きません。

あくまで私の勝手な判断なので、距離感がそぐわないかもしれません。

が、外来診療の経験で、概ね距離感はつかめているのではないかと、最近は思っています。

患者さんが話をしやすい環境を今後も作っていけるよう努力していこうと思っています。