麻薬と大麻と覚醒剤

2019年1月4日

麻薬と大麻と覚醒剤は法的に違うもの

なんとなく同じ括りの麻薬とか大麻とか覚醒剤ですが、医学的には取り扱いが異なります。

何が違うかというと、そもそも取り扱う法律が異なります。

上の3つにアヘンを加えた薬物4法というものがあり、それぞれの取り扱いについて規定しています。

医師からみた薬物4法の違い

どの薬物も基本的に使用が制限されていますが、麻薬は我々医師や歯科医師、獣医など一部資格に使用免許が交付され、鎮痛などの用途で使用することが出来ます。

他の薬物はできません。

麻薬中毒患者を発見した際には医師には通報の義務があります。
一方で覚醒剤や大麻、アヘンについては通報の義務はありません。
そうすると、医師法に規定されている守秘義務という患者さんの秘密を守るための法律が優先されるので、覚醒剤中毒を強く疑う患者さんを見つけても、その場での同意のない検査も通報もできません。

法律は不思議です。

覚醒剤使用を疑う人が来院したら

当院でもこの人明らかにクスリやってるだろうという人が来たことがあります。
でも検査はしませんでした。当然通報もできませんでした。

ですが、後で知ったのですが、報道でも出てくる毛髪を使った検査はできたようです。

患者さんから同意なく毛髪を採取するのは禁止されていますが、自然と抜けて医院の床に落ちた毛髪は「医院の所有物」になるのだそうです。

それを用いて検査するのは法的には問題ないらしいです。
でもそれで覚醒剤反応が陽性だとしても通報ができません。

ただ、その人が運転免許を持っていた場合は道路交通法の運転免許の欠格事由に該当するそうで、努力義務ですが公安委員会に届け出ることができるそうです。

すごい絡め手ですが、薬物中毒の患者さんを薬物から救うには、やはり通報して裁きを受けてもらうのが近道だと思います。

今後そのような患者さんを見つけたら、その手で行ってみようと思っています。