動脈硬化の歴史

2019年1月4日

動脈硬化というと現代の病気のイメージですが、2015年にLANCETという学会誌に発表された論文に興味深い内容のものがありました。

曰く、4000年前のミイラ137体をCT検査で調べたところ、47体に動脈硬化の所見があったというのです。

つまり動脈硬化は近代化され、生活が豊かになる前からあった病気であり、最近になってからヒトを悩ませ始めたわけではないということです。

その動脈硬化の悪化要因にコレステロールがありますが、コレステロールと動脈硬化について因果関係を初めて疑った論文は1913年に発表されています。

そこから50年経ってコレステロールの薬は1960年に初めて登場し、紆余曲折の末1980年代後半になってやっと現在のコレステロール治療の基本となるスタチン系薬剤が登場します。

ヒトと動脈硬化は4000年前からの付き合いですが、ヒトが動脈硬化を認知したのは100年前、戦うための武器を手に入れたのはたった30年前です。

動脈硬化が現代の病気なのではなく、現代になって初めて戦えるようになった病気なのでした。