理想の町医者

2019年1月4日

僕の理想の町医者像は昭和の「お医者さん」

地域に根ざす町医者として、やはり理想の町医者というのを考えます。

僕の考える理想の町医者は昭和初期〜戦後のお医者さんです。

地元に根ざした医院で外来を行う傍、調子が悪い人がいると連絡があれば昼夜を問わずかけつけて診療を行う。

昭和初期から中期を舞台にしたドラマにはよく見かける風景ですが、現代ではほとんど見かけません。

今ではいなくなってしまった昭和の「お医者さん」

なぜ見かけないのか。

現在ではできない理由がいくつかあるのだと思います。

一つは、医学の複雑化、専門化。医学の進歩と共に、一人の医者が医学の全てをマスターすることは困難になりました。

昔に比べ内科・小児科を標榜する医院も減り、内科の医院も自分の専門性を売りにしている医院が多くなっています。

訪問診療を専門にする先生もいらっしゃいますが、その先生たちは残念なことに外来を行わないのです。

次に高齢化です。以前に比べ社会に占める高齢者の割合が増えました。高齢者は体調を崩しやすく、緊急で往診が必要になる頻度が高いです。

最後に医者の胆力です。僕を含め、現代の医者は私の祖父が医者だった頃のように仕事だけに命をかけなくなってしまいました。

それらを合わせるとこうなります。

高い専門性を売りにした医院が、質の高い医療を完全予約制で提供する。質の高い医療を医師が提供するには医師のライフワークバランスが大切だ。だから夜間や休日の緊急診療は対応しない。

そういう医院が多いのです。

いなくなってしまった「お医者さん」を復活させたい!

ですが僕はあえて時代を逆行したいと思っています。

患者さんが困ったらかけつけてくれる「お医者さん」を理想としたいです。

でも僕には祖父のような胆力がありません。

家族との時間も大切にしたい。一人で地域の患者さんの不調に対して24時間応召するのは体が持ちそうにありません。

だから、これからはそれを複数の医師でシステム化することが、目標です。

僕のライフワークになると思っています。

今は道半ばですが、いずれ自分の医院がその理想に近づけるよう努力していきたいです。