跡継ぎ

2019年1月6日

我が家には娘が二人います。
診察室のパソコンに娘の写真を貼る親バカぶりです。

写真をきっかけに娘の話を患者さんとすることもありますが、よく言われるのは
「はやく跡継ぎを作らないとね」

申し訳ありませんが返答に困ってしまいます。
跡継ぎといえば息子と相場が決まっているのかもしれませんが、別に娘でも良いのではないかと思います。
それより、私が子供に医院のあとを継いで欲しいのかということもあります。
答えは「継ぐ必要はない」です。

私が子供の頃、父以外の周りの大人から「将来は医者に」と言われながら育ちました。
正直それが重荷で反発した時期もありました。

子供が家督を継ぐ。
もうそんな時代ではないように思いながらも、かけられた期待に応えるために頑張って、ギリギリ私立医学部に引っかかって医師になることができました。

今、自分は医師になって良かったと思っています。
やり甲斐のある仕事、患者さんとのふれあいに、日々充実感を味わっています。

でも、自分の子供に自分の子供の頃のような重荷を背負わせたいか、と言われれば、そう思いません。
自分の子供には、子供の人生がある。
それは親であろうと邪魔をしてはならない。そう思います。

なので子供たちには医者になれとは今後も言わないでいようと思っています。
遠慮なく自分の人生を選択できるように。
でもそれでも同じ方向を向いてくれたなら、それはすごくステキだなと期待はしてしまいます。

そういえば、医者になれという親族の圧力の中、父だけは私に医者になれとは言いませんでした。
父は祖父を含めた家族皆から医者になれと言われて育ったようです。
重荷を背負ったからこそ、私には直接言わなかったのでしょう。
期待はしていたようですが。
一浪したあと昭和大学に受かった時の父の興奮した様子は今でも覚えています。

無理して医院を継ぐ必要はありません。
その必要がないように法人化をしました。
子供が継がなくても誰かが医院を継承してくれます。

そうやって子供達が重荷に感じないように変化をさせながら、それでも親として密かに期待していようと思います。