花粉症という病名

2019年1月4日

風邪の季節が終わり、いよいよ春。
春といえば、卒業、入学、新生活、桜、そして医院的には花粉症の季節です。

花粉症とよく言いますが、保険診療的には花粉症という病名はありません。
スギ花粉によるアレルギー性鼻炎というのが正式な名称です。

医師になりたての頃、レセプトに病名を記載するという仕事を任されました。
レセプトというのは自分達が施した治療がどんな病気に対して使われたのか、というのを厚生労働省に報告するための書類です。
料理人にとっての皿洗いとか下ごしらえのような、見習いが最初にやらされる仕事ですが、この時病名に「花粉症」と書いて上級医にすごく怒られました。
そんな病名はない。適切ではない病名を書いたら、適切な診療にならないから健康保険からお金が入らなくなる。
だから病名はしっかり調べて間違わないようにしなさい。

その通りで、ぐうの音も出ず、それ以来、病名は調べながら正確に記載するようになりました。

でも、、、 どうでもいいじゃん、と今でも思っています。
レセプトには保険病名という指定された病気しか記載できないのです。
花粉症という病名は医療保険上は存在しないのです。

でもみんな花粉症と言います。

私も患者さんには「花粉症ですから薬出しますね」と言いながら、カルテには「アレルギー性鼻炎のため薬を処方する」と記載しています。

ここまで認知されているなら、いっそ保険病名として認めてしまえばよいのに。
と春になるたびに思ってしまいます。