睡眠と糖尿病

2019年1月4日

最近テレビで「睡眠の質が改善すると血糖値が下がる」という趣旨の放送があったようで。

先週から今週にかけて、その放送で出ていた睡眠薬を処方してほしいという希望を複数の患者さんからいただきました。

睡眠と血糖値については関連が当然あります。

自律神経を司るアドレナリンというホルモンがあります。これは緊張時に増えますが、これは血糖値を上昇させるという機能も持っています。

睡眠が不十分だったり、浅かったりすると、体は緊張に偏るためアドレナリンが分泌され、その結果血糖値が上がります。

これは代表的な例であり、それ以外でも睡眠不足が血糖値を上昇させるという機序はいくつも挙げることができます。

ですので、睡眠の質が改善されれば血糖値は下がります。
医学的には当たり前のことなのです。

ですが、睡眠の質があなたの高血糖の原因の全てではありません。

放送では、睡眠薬で眠ることができれば血糖値が下がるくらいのことを言ったのでしょうか。

放送した側にその気はなかったとしても、少なくとも私に睡眠薬を処方してほしいと希望された患者さんたちはそのように解釈していました。 

その患者さんの一人に「そもそも眠れていないのですか?」と伺ったら。

「眠れている」との返答が!

それならば高血糖の原因は別にあります。

眠れているのに睡眠薬を処方することはできません。

どのような放送だったのか、確認していないので、決めてかかるような物言いは良くないのかもしれませんが、患者さんに誤解を与えるような放送は厳に謹んでいただきたいと思います。